2017年3月1日(水)12時47分

【英語版ジャンプコミックスが日本で配信!】どうやって作っている?アメリカのジャンプ編集部に迫る!! 後編

前回はアメリカ版ジャンプの制作に関わっている週刊少年ジャンプ元編集長の佐々木さんと、「SHONEN JUMP」編集長のアンディさんに、英語版翻訳についてのお話やアメリカの漫画事情について聞いてみたが、今回はさらに踏み込んで、「SHONEN JUMP」を制作しているVIZ Media社のスタッフのみなさんに、好きな漫画や、仕事の様子などを根掘り葉掘り質問してみた! 一体どんな人が英語版ジャンプをつくっているのか? スタッフみなさんのデスクの写真も公開しちゃうぞ!

【英語版ジャンプコミックスが日本で配信!】どうやって作っている?アメリカのジャンプ編集部に迫る!! 前編はこちら

アンディ・ナカタニさん
Andy Nakatani
「SHONEN JUMP」編集長のアンディさん

「SHONEN JUMP」が月刊から週刊のデジタルマガジンに切り替わるタイミングより、編集に携わる。現職はチーフエディター。

Q.好きな漫画は?
気に入っているのは『スラムダンク』です。何回繰り返し読んでも飽きないですね。キャラがとても個性的だし、人間ドラマや笑いのタイミングが素晴らしいです。私はバスケが大好きなのですが、試合の描写もとてもリアルに感じます。井上先生は天才ですね!

Q.漫画関連のグッズは買いますか?
以前は今よりもっとたくさんの漫画を買っていました。サンフランシスコの紀伊國屋書店や、日本に行った時にまとめ買いしてましたよ。

Q.英語版コミックスをつくる上で、大変なことは?
一番難しいのは言葉のギャグでしょうか。例えば『トリコ』の中で、少林寺をもじった食林寺という名称がありますが、少林寺は英語で”Sholin”(発音:ショーリン)なので、英語版では、食べ物や食事という意味のあるスラング”Chow”を使って、”Chowlin temple”(食事寺)と表記することにしたんです。この変換は素晴らしくうまくいったなと想います!

Q.仕事場のデスクを見せてください!

私のデスクは整理整頓されてますよ!
「SHONEN JUMP」編集長のアンディさん_デスク

Q.日本の漫画ファンにメッセージをお願いします!
僕たちも漫画が大好きです! 「よろしくお願いします!


アレクシー・カーシュ さん
Alexis Kirsch
アレクシー・カーシュ さん

子供の時、日本に住んでいた頃からジャンプの大ファン。VIZ Mediaで働き始めた当初は少年ジャンプの編集者ではなかったが、少年ジャンプに関する色々な仕事をボランティアで手伝い、2~3年後にジャンプ関連の仕事に集中できるようになったという。
アレクシーは、ジャンプフェスタ2017でComicsyncのインタビューにも答えてくれたぞ!

Q.どんな仕事をしているんですか?
英語版の漫画編集者。『NARUTO -ナルト-』、『BLEACH』、『ONE PIECE』、『バクマン。』、『ブラッククローバー』、『約束のネバーランド』など、他にもたくさんの仕事をしてきたよ。

Q.好きな漫画は何ですか?
子供の頃に好きだったシリーズは『ドラゴンボール』と『キン肉マン』だね。それらは今も僕の心の中に特別な存在として残っているよ。

Q.「オタ活」=オタク活動 は何かやっていますか?
一番のオタ活は漫画を集めること! 一時は800冊を超える単行本を持っていたんだけど、ものすごい量だったので今は少し減らして、だいたい600冊くらいになっているよ。

Q.漫画関連のグッズは買いますか? 主にどんなところで、何を買いますか?
サンフランシスコには紀伊國屋書店があるんだ。あとはAMAZONを使っているね。

Q.英語版コミックスをつくる上で、大変なことは?
正しいフォントを選ぶという技術的な問題が常にあるよ。きちんと文字を吹き出しに入れ込まなければならないし、効果音も正しく翻訳しなければならない。でも、一番重要なのは、日本語版を英語版に変えても、キャラたちが同じ気持ちを持ったまま、会話が成立しているということだね。

Q.仕事場のデスクを見せてください!

かなり散らかってるよ!
アレクシー・カーシュ さん_デスク

Q.日本の漫画ファンにメッセージをお願いします!
キミたちは1人じゃない! 漫画が好きな人は世界中にたくさんいるんだ。ジャンプフェスタ2017で、僕は岸本先生にインタビューしたんだけど、彼はNYCC(ニューヨークコミコン)を訪れた時、アメリカのファンが日本のファンと同じ理由で『NARUTO -ナルト-』を好きだということを知って驚いたと語っていたよ。世界はそれぞれに分かれているかもしれないけれど、漫画を愛する心は世界を超えて1つだ!


ユライアン・ブラウンさん
Urian Brown
ポッドキャスト責任者_ユライアン・ブラウンさん

以前よりVIZで働いていたが、ジャンプが大好きだったので、異動のチャンスに「ジャンプ」して、現在の仕事についた。ポッドキャスト責任者。

Q.どんな仕事をしているんですか?
少年ジャンプのポッドキャストを運営したり、イベントの司会をやったり、shonenjump.comの記事を書いたり、『ジョジョの奇妙な冒険』を編集したり、少年ジャンプのツイッターに下らないツイートをしたり、勤務中にトイレに隠れてポケモンをプレイしたりしているよ!

Q.好きな漫画は?
HUNTER×HUNTER』! 冨樫先生は途方もない想像力の持ち主だね。こういう奇妙さやクレイジーさを恐れない漫画にこそ、僕は大きな価値を感じるんだ。

Q.「オタ活」=オタク活動 は何かやっていますか?
テレビゲームをかなりやっているよ。欧米のタイトルより、JRPGなど、日本のゲームの方が好きだね。

Q.英語版コミックスをつくる上で、大変なことは?
効果音! 効果音が、アメリカと全然違うんだ。同じ意味の効果音が英語に存在しないことも時々あるよ。

Q.仕事場のデスクを見せてください!

僕の机はごちゃごちゃだよ! いっつも!
ポッドキャスト責任者_ユライアン・ブラウンさん_デスク

Q.日本の漫画ファンにメッセージをお願いします!
漫画大好き! 20年間漫画を読み続けて、この業界で働いているけど、未だに全然飽きない! 漫画は人生だ!


ジョン・ベイさん(通称JB)
John Bae
ジョン・ベイさん(通称JB)

日本の学校で3年間、英語講師として働いた後、サンフランシスコへ。日本の文化に興味があり、出版社での編集経験もあったので、VIZで働くことは「自分にとってパーフェクト!」だという。

Q.どんな仕事をしているんですか?
週刊少年ジャンプの漫画の編集と、ウェブサイトのコンテンツ製作だよ。

Q.好きな漫画は何ですか?
うーん、難しい質問だな! ひとつだけなんて選べないよ!
手塚治虫『火の鳥
井上雄彦『バガボンド
尾田栄一郎『ONE PIECE

Q.『ONE PIECE』が好きな理由は?
『ONE PIECE』は、今最も独創的で想像力にあふれる作品の一1つだよ! 尾田先生の絵は、すごくエネルギーにあふれていて個性的だ。カラーページを見るたびに毎回、絵の独創性、面白さ、可愛さ、めちゃくちゃな細かさに感心するよ。本当に毎回必ずだよ! そして作品の壮大さにも心うたれるね。20巻目に出てきたキャラが、20巻後に重要な役割を果たしたり、どうやって尾田先生は、あれほど長いストーリーの中で、多くの未解決問題を結びつけられるんだろう!? それらが彼の物語を伝える力の凄さの証だし、日本の週刊少年ジャンプの編集システムの凄さの証だね。

Q.「オタ活」=オタク活動 は何かやっていますか?
一度だけ、サンディエゴのコミコン(コミック等 ポップカルチャーをテーマとした祭典)で『ドラゴンボール』の天下一武道会のアナウンサーのコスプレをしたことがあるよ。ヤンキーの小泉首相のコスプレだと思った人もいたみたいだけど…

Q.英語版コミックスをつくる上で、大変なことは?
効果音と文化に関する内容かな。英語は、日本語に比べてオノマトペや効果音が少ないから、握手の音やお辞儀の音、ゴミ袋を投げる時の音なんかを考えるのはすごく大変だよ。それに日本の有名人や流行などは、こちらで知られていないので、文化の違いを意味が通じるように英語にするのが難しいんだ。

Q.仕事場のデスクを見せてください!
すっごい散らかっているよ。この写真が僕のデスクのイメージなので、想像してみてくれ。

さすがに鳥はいないけどな!
ジョン・ベイさん(通称JB)_デスク

Q.日本の漫画ファンにメッセージをお願いします!
少年ジャンプを読み続けて! そして、いい漫画が続くように応援してくれ! 「だってばよ!


マーリーン・ファーストさん
Marlene First
マーリーン・ファーストさん

アメリカのアニメニュースサイトや日本の手塚プロダクションでのインターン経験があり、漫画と少年ジャンプが好きだったので、学校卒業と同時にVIZメディアヘ。

Q.どんな仕事をしているんですか?
少年ジャンプブランドの様々な作品のフリースペースや、雑誌、単行本の編集をしています。関わった作品は、『ドラゴンボール超』、『ハイキュー!!』、『ワールドトリガー』、『彼方のアストラ』、『終わりのセラフ』、『エルドライブ【élDLIVE】』、『トリコ』などがあります。

Q.好きな漫画は何ですか?
難しいなぁ…『SKET DANCE』かな? この作品は私がいろいろ大変な状況の時にも、一瞬で笑いをもたらしてくれました。篠原先生のキャラたちは、魅力的で、面白くて、しかも時にシリアスで…悲しい話のときには十分に人を泣かせるパワーもあって、話を伝える力が本当にすごいです。この漫画を読み始めた頃は、まだ高校生で日本語を勉強している最中だったんですが、そのときでもこの漫画に共感できました。私はボッスンのように双子なので、それも楽しい要素でしたね。(私は双子の下の方なので、よりツバキに似ている気がしますが…)

Q.「オタ活」=オタク活動 は何かやっていますか?
実は、ジャンプのキャラクターのコスプレをたくさんしたことがあります。15種類くらいの作品から、少なくとも30キャラ分はやりました。今年は『彼方のアストラ』や『エルドライブ【élDLIVE】』、のコスプレにとりかかっています!

Q.漫画関連のグッズは買いますか? 主にどんなところで、何を買いますか?
漫画やアニメのグッズはたくさん持っていますが、それらはプレゼントだったり仕事のサンプルだったりします。自分で実際に買うのはファイナルファンタジー関連のもので、15個くらいありますね。

Q.英語版コミックスをつくる上で、大変なことは?
いくつか大変なことがありました。例えば『ハイキュー!!』の場合、アメリカのバレーボール用語は日本と異なるので、バレーボールのルールを勉強して、英語でなんという単語に置き換えるかを考えました。
また、叫び声も英語では表現が難しいですね。『ドラゴンボール超』を編集していた時は、たくさん「ギャー」「ウァー」「グワー」があり、何度も繰り返し使うことに少々心配になるときがありました。英語での叫び声表現は限られているので、新しく音を作り上げるときは意味がわからなくならないように気にかけています。同じく、効果音も難しいですね。特に沈黙する音が。

Q.仕事場のデスクを見せてください!
ごめんなさい。ごちゃごちゃしています! ほとんどは友達からのプレゼントか仕事でもらったものです。ゴミ箱に捨てるということが得意ではなくて。それに…今は『トリコ』の仕事をやっている最中なものですから!

マーリーン・ファーストさん_デスク

Q.日本の漫画ファンにメッセージをお願いします!
ははは、私の言葉が重要な意味を持つのはどうかわからないけど…少年ジャンプは本当に素晴らしいので、これからもずっと読み続けて欲しいです!


高田泰江さん
高田泰江さん

日本の文化を海外に紹介する仕事に興味を持ち、ゲーム会社でのライセンス関係の仕事を経て、サンフランシスコへ。VIZ Mediaでライセンスを担当する

Q.どんな仕事をしているんですか?
アメリカで少年ジャンプの漫画を出版するために、「この漫画出させてください!」って申し込む係をしています。また、アメリカでも楽しい漫画のイベントがた〜くさんあるので、アメリカの少年ジャンプチームと日本の少年ジャンプチームの間に入って、いろいろな企画を調整する係をしています。

Q.好きな漫画は何ですか?
ベルサイユのばら』、『エースをねらえ!』、『リアル』、『NARUTO-ナルト-』、『かくかくしかじか』、『アシガール』、『MONSTER』… 一つだけ選べないです(笑)

Q.では、好きなジャンプ漫画は何ですか?
週刊ヤングジャンプだけど、『東京喰種』。主人公のカネキが魅力的すぎる!

Q.英語版コミックスをつくる上で、大変なことは?
スピード。日本でコミックスが出てから、なるべく早くアメリカのお客さんの手に同じコミックスが届くようにしたいけれど、本を翻訳したり、吹き出しの中の字を日本語から英語にかえたり、漫画のカバーを作ったり、沢山の作業があるので、同時に本を出すことはなかなか難しいです。

Q.仕事場のデスクを見せてください!

えっ、写真とる前に片付けしてませんよ…(汗)
高田泰江さん_デスク

Q.日本の漫画ファンにメッセージをお願いします!
漫画ファン、ジャンプファンのみなさん、日本の漫画の応援よろしくお願いします。英語版の漫画も手にとる機会があったら読んでみてね!


なるほど~、アメリカのジャンプ編集部も日本に負けないアツい想いで漫画を制作していることが伝わってきましたね~。描き文字や効果音の表現、文化の違いなど、翻訳にはいろいろ大変なこともあるみたいだけど、VIZ Mediaの皆さんには、今後ももっとたくさんの漫画を世界に送り届けてくれることを期待!

英語版のジャンプコミックスの電子版は日本のストア(iBooks、amazonkindle、kobo)でも配信中(※2017年2月中旬時点での配信ストアです。今後変更がある場合もあります。また、書店ごとに価格が異なる場合があります。)あのジャンプ漫画がどんな英語に翻訳されているのか、比べてみてみるのも、おもしろいかも!

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