2017年3月16日(木)

孤高の職人がNHK Eテレ「漫勉」に登場!画業50年超えの巨匠、ながやす巧の集大成となる漫画『壬生義士伝』に刮目せよ!

“画業50年”――とんでもない偉業ですよね。
漫画大国・日本にはそれこそ数え切れないほどの漫画家さんがいますが、50年以上漫画を描き続けられた人ってどれだけいるんでしょうか。

そんな漫画家の一人、そして今もなお現役で描き続けているのが“ながやす巧”先生です。
1970年代には映画化やドラマ化もされ大ヒットを記録した『愛と誠』(原作/梶原一騎)を、近年では直木賞受賞作家・浅田次郎氏の小説『鉄道員(ぽっぽや)』『ラブ・レター』の漫画を描き、現在は「自分の最後の作品として描きあげたい」と明言されている漫画『壬生義士伝』を執筆中。本日3月16日(木)には、最新第7巻が発売されました。

3月23日(木)には、漫画家たちの仕事場に密着取材する人気番組、NHK Eテレ「浦沢直樹の漫勉」にながやす先生が登場されます。(ながやす先生はテレビ初出演!)
NHK Eテレ「浦沢直樹の漫勉」

公式サイトのラインナップに並んでいる作家名を見ればわかるとおり、いずれも漫画界を代表する巨匠ばかり。
そんな巨匠・ながやす巧とは、どんな漫画家なのか? 簡単に説明するのは難しいですが、誤解を恐れずあえて一言で表すならば“孤高の職人”ではないでしょうか。

アシスタントを一切使わない、孤高の職人!

苛烈な仕事ぶり表現するときに、よく「妥協を許さないスタイル」なんてフレーズを聞きますが、ながやす先生はまさにそれを体現する作家です。
というのも、先生はアシスタントを一切使わないのです。『壬生義士伝』ならば歴史上の建造物から、市井に暮らす庶民、壁に掛けられた柄物など、普通ならアシスタントと分業するようなところも自らペン入れしているんです!

『壬生義士伝』ならば歴史上の建造物から、市井に暮らす庶民、壁に掛けられた柄物など、普通ならアシスタントと分業するようなところも自らペン入れしているんです!
漫画『壬生義士伝』1巻より

もちろんアシスタントと分業する、しないは考え方の違いで、どちらが正しいというわけではありません。作画に1人で没頭したいなど理由は色々想像できますが、デビュー以来50年、そのスタイルを貫き続けるこだわりぶりは尋常ではありません。すべてのページが渾身の1枚となっている漫画を、原作の浅田次郎氏も大絶賛されています。

漫画『壬生義士伝』2巻
漫画『壬生義士伝』2巻より

このページをご覧になってもわかるように、微に入り細に入り描き込まれたコマには圧倒されます。しかし、先生の作品はどれだけ緻密に描き込まれていても、芸術作品を鑑賞するような読み方を読者に主張してきません。何ならパラパラと流し読みしてもいいような「かるみ」すら感じさせます。そう、俳諧の達人・松尾芭蕉が至った境地のように。

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ただ、何気なくページをめくっていくと、いつの間にか画面に引き込まれていることに気づきます。確固たる画力を土台に、血肉が通った登場人物たちが紡ぐ物語に、いつしか読者は没頭していくのです。

漫画『壬生義士伝』
漫画『壬生義士伝』
漫画『壬生義士伝』

この後の展開はどうなるんだろうとワクワクさせられ、さまざまな愛の物語に涙腺が緩む――先生が描く漫画は基本的にエンタメ・娯楽なんだと感じさせられます。

漫画家・上北ふたご先生と担当編集者に聞く、ながやす作品の魅力

では、同じ漫画家や編集者の方々は、先生の仕事ぶり、作品に何を感じるのか?
ながやす先生を尊敬する漫画家に挙げている上北ふたご先生(『ひみつのアッコちゃんμ』や「プリキュア」シリーズのコミカライズを担当)と、ながやす先生の仕事を長年見続けている担当編集の頓田さんにお話を聞いてみました。

【上北ふたご先生のコメント】

私たちが、先生の作品に初めてふれたのは、『愛と誠』です。連載当時、その美しすぎる劇画タッチに、一目で心を奪われました。それ以来、ながやす先生のファンのひとり(ふたり)として、そして、漫画を描く身としては、その、あまりにも高すぎる雲の上の目標として、多大なる敬意を表しております。

魅力的なキャラクターデザインと描画。
線の1本1本が、もう美しくて美しくて…!!
のちに、すべての作画を、アシスタントさん無しで仕上げていたと聞き、ほんとうに驚きました。キャラクターの端正な美しさ、構図、迫力、スピード感、重量感。かっこよさ!!!

画面全てが、アメコミの日本版のような、見たこともない超美麗な劇画でした。

『愛と誠』のモノクロページとカラーイラストをいっしょうけんめい模写して、高校1年生の文化祭で販売しました。(恐れおおい!) ゴルフコースでの、最後の佐土谷との一戦。コミックス14巻のカバーイラスト。先生の作品は、カラーもとても綺麗で、当時、14巻のふたりの黒髪が緑色に反転した作画には、衝撃を受けました。

つけペンは、こういう風に使うのだという究極のお手本が、すべてのページにつまっています。真っ白な紙に、人の手によって描かれたものとは思えないような、まるで、そこにもともと神様が絵を描いていたような…。

どの世界でも、巧みなものほど、これみよがしでなく さりげなくて、自分にもできそうなことのように見えたりします。そこで、いざ真似をしようとした時に、その人間業とは思えない技巧と、表現の氷山の一角の下に膨大に蓄積された部分の圧倒的才能、人間力に、驚き酔いしれるのです。

絵がお上手なことは、もういまさら言うまでもありません。わたしたちが言うのもおこがましいですが、とにかく、ながやす先生の絵からは、圧倒的な表現力を感じます。その表現力は、もって生まれた才能に加え、観察眼、たゆまぬ努力、そして、人間力が生み出していくのだと思います。キャラクターが、実際にそこに存在しているような、感情や痛さ、温度、湿度、空気が伝わってくる表現。コマ割や構図、セリフ運びや表情…。キャラクターたちが、物語がどうなっていくのか知りたくて、漫画の中にぐいぐいと引き込まれてしまいます。そこには、とてつもない愛が溢れています。

そして、ほどよい睫毛や、表情、しぐさから発せられる色香!! 劇画なのに、血を流しているのに、汗いっぱいなのに、傷だらけなのに! とても色気を感じます。男性には男性の、女性には女性の強さやさしさ気高さがあり、先生の漫画の紙面から、それらがものすごく伝わってきてシビレっぱなしです。

今日まで次々と名作を生み出してこられた先生です。その永遠に変わらぬ匠 (巧)の技!! いえ、変わらないというより、さらに磨きがかかり、今なお、お一人ですべてを描かれているとのお仕事ぶりに驚嘆するばかりです。

『壬生義士伝』でも、先生のすばらしい漫画を堪能させていただいています。幕末を舞台に、真の男と呼ぶにふさわしい主人公の生き様に、魅了され感動しっぱなしです。

主人公を取り巻くキャラクターたちの描写からも目が離せません。6巻の龍馬暗殺シーンでは、その迫力に思わず息をのみました。7巻の発刊、多くのファンのみなさんと共に、わたしたちも大変うれしく、「ながやすライブラリー」にまたひとつ、お宝が並ぶ至福にひたっています。

[上北ふたご]

上北ふたご先生が描く『ひみつのアッコちゃんμ』の記事はこちら

漫画WEBサイト「スピネル」『ひみつのアッコちゃんμ(ミュー)』 はこちら

 


【ながやす先生の担当編集・頓田さんのコメント】

――初めて先生にお会いしたとき、どのような印象を受けましたか?

頓田:私が集英社に入社したのは、『愛と誠』の連載が終了した1976年です。少年マガジンの一読者として愛読していました。とにかく面白かった。

後年初めてお会いした時に、週刊連載だったにもかかわらず、当時もお一人で描かれていたと伺いました。当然、描きだめされたのだろうと思っていたら、「梶原先生の原稿を先取りなどできませんから、いつも時間(締切)との競争でした」と、さらりと答えられたのには驚きました。あの質の高い原稿を、たった一人で、毎週、落としもせず!!! あっけにとられたことが忘れられません。

――連載作家として、ながやす先生の制作スタイルは珍しいのでしょうか?

頓田:月刊誌だと、たまにアシスタントを使わずお一人で描かれている方がいます。ただし、雑誌連載で、5年10年となると難しいですね。週刊誌時代もあり、半世紀以上も、そのスタイルを雑誌中心の執筆活動で貫き通すのは、神がかっているとしか言いようがありません。

尋常ならざる画力と、すべて執筆のためだけに人生を費やす覚悟がなければできません。『壬生義士伝』は歴史もので大長編のため、取材・資料収集等の手間もかかります。章ごとに全体の構成を練り、作画にミスがないように、精緻に描き起こした設定画も用意し、コンテを作られてから、ようやく下描きが始まります。ペン入れも人物ごとに通しで描かれ、それから背景、最後に仕上げといった手順で描かれているため、作品の執筆と発表が同時進行となる、一般的な執筆スタイルとは異なります。章ごとに発表が始まるときは、すべての原稿が完成しているわけです。

Webで発表時の扉絵や単行本に収録されている「扉絵コレクション」をご覧いただけると、何年に描かれたものかわかるので興味深いですよ。執筆年と発表年に数年の隔たりがあったりしますから。たまに新しいものがあるのは、どうしても気に入らないからと、新たに描き直される場合があるんです。編集者としては、嬉しいような困ったような事態が、よく起こります。

漫画『壬生義士伝』5巻に収録されている新選組・斎藤一の扉絵
漫画『壬生義士伝』5巻に収録されている、新選組・斎藤一の扉絵。2012年作だとわかる。

――ながやす作品の魅力は、どこにあると思いますか?

頓田:ある著名な漫画家の方が、ながやす先生初の原画展の会場で、食い入るように原画を眺めながら、「最高の描き手」と仰っていました。それは画力だけの話でなく、作品に向き合う姿勢、覚悟も含めた賛辞に聞こえました。読みやすいのに、奥が深い。描き込まれているのに、見やすい。ながやす巧先生は、芸術家というより、「職人」なのだと思います。名は体を表すというのは、先生のためにある言葉だと。

――読者の皆さんにメッセージをお願いします。

頓田:私も読者の皆さんと大差ありません。編集者の幸せは、「最初の読者」であること。正確にいうと、ながやす先生の奥様に次ぐ「二番目の読者」であることです。
画業50年超えの集大成となる作品です。お読みいただければ、作品の価値はご理解いただけると信じています。「奇跡」のような出来事が、現在進行形で進んでいるのです。ぜひご一読ください。


 

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■テレビ初出演! NHK Eテレ「浦沢直樹の漫勉」に、ながやす巧先生が登場!
著名漫画家の創作の秘密に迫る「浦沢直樹の漫勉」に、ながやす巧先生が出演。これまで誰も見たことがなかった、ながやす先生の仕事場に初めてカメラが入ります!
<放送日>
3月23日(木)午後10時~
再放送 3月27日(月)午前1時10分~ ※26日(日)深夜
NHK Eテレ「浦沢直樹の漫勉」公式サイトはこちら!

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