2017年4月3日(月)18時26分

【2017年新連載レビュー】どこか不条理でシュールな世界を描くオムニバスショート『メランコリア』を紹介!【ウルトラジャンプ】

2017年1月発売の「ウルトラジャンプ2月号」より連載を開始した『メランコリア』。
作者の道満晴明先生は、今作でウルトラジャンプに初登場!

その作風は独特かつ強烈。日常の中に潜む非日常や超常めいた世界、童話や寓話などをモチーフに、“なにかメランコリックな”エッセンスを落とし込み、独自の世界観を作り上げることに定評がある。

メランコリア

道満清明先生ってどんな漫画家?

一話完結型の短編を主体とする作風を得意としている。上述したような独特の世界観に加え、風刺的なネタを使ったギャグの切れ味がかなり鋭いことでも有名。
『ニッケルオデオン』シリーズ(小学館)では、さまざまなジャンル(BL、百合、切ない、ギャグなど)の漫画を発表している。
とにかく幅広い引き出しを持っている漫画家さんだ!

1月号には「figure.1:Apocalypse 終末」と「figure.2:Bobby Fischer ボビー・フィッシャー」の一挙二話掲載。
本記事では上記2作のレビューをお届け!

【figure.1】「Apocalypse 終末」

第一話は、引きこもっている間に世界が終末を迎えてしまった少女の物語が描かれている。

メランコリア_【figure.1】「Apocalypse 終末」

これが1ページ目なのだが…。空で蠢く触手に鳴り響く終末のサイレン。
最初からクライマックスとはまさにこのこと!

メランコリア_【figure.1】「Apocalypse 終末」

部屋に戻ってしまったサトミの気持ち、正直わからないでもない…。
自分も朝起きて世界が滅びていたら、とりあえず大好きなアニメを見て心を落ち着けることから始めるだろう。録り溜めしたアニメを消化するまでは絶対しねない!

メランコリア_【figure.1】「Apocalypse 終末」

そんなサトミに話しかけるのは、神の代行者となった飼い猫のモーアル。飼っていたペットが実は魔法生物で、契約して魔法少女に! というのはよくある話だが、まさか飼い猫に裁かれることになるとは…。

メランコリア

ちなみに作者の道満先生は大の猫好きらしい。
目次ページの作者コメントにも「猫の餌代稼ぐためにがんばります。」と書かれている。
ウルトラジャンプ初登場のコメントがこれってすごい…。

メランコリア_【figure.1】「Apocalypse 終末」
メランコリア_【figure.1】「Apocalypse 終末」

そんなこんなで、けたたましくサイレンが鳴り響く中、モーアルによる審判が開始される。この先サトミはどんな審判を下されるのだろうか…?

作中に意味深な言葉も多く、読み手によってオチの解釈が異なっていそうなところも非常におもしろい。
読了後にもう一度読みたくなる作品となっていた。

【figure.2】「Bobby Fischer ボビー・フィッシャー」

一挙二話掲載の2本目は、チェスの天才少年と森で隠遁生活を送るマジョの物語。
タイトルのボビー・フィッシャーは、チェスの世界チャンピオン(1972~1975年)として有名なアメリカ人男性のこと。

メランコリア_【figure.2】「Bobby Fischer ボビー・フィッシャー」

少年・タケルはチェス専用ロボット「ディープパープル」に勝利したことで、「第二のボビー=フィッシャー」と呼ばれるようになる。
(※「ディープパープル」は実在するチェス用スーパーコンピュータ「ディープ・ブルー」のパロディ。)

メランコリア_【figure.2】「Bobby Fischer ボビー・フィッシャー」

しかし、そんな名声も彼にとってはどうでもいいこと。タケルの日常とは、“学校帰りに森のマジョと呼ばれる美しい女性の家でお風呂に入る”という非日常めいたものだった。

メランコリア_【figure.2】「Bobby Fischer ボビー・フィッシャー」

湯船につかりながら、何でもない会話を繰り広げる二人。このワンシーンだけ見れば、どうということはない、小学生の悩みを聞く気のいいお姉さんに見える森のマジョ。しかし、彼女にはなにやら秘密があるようで…。

メランコリア_【figure.2】「Bobby Fischer ボビー・フィッシャー」

マジョのおっぱいに挟まれてお風呂に入るタケル。いったいどのような経緯でこんな状況になったのか…。うらやまけしからん!!

普通の「おねショタ」ラブコメのようでいて、どこか異質な雰囲気を感じさせるのが、まさに「道満劇場」といったところである。

『メランコリア』に込められた意味––
そして各話のタイトルにも秘密が…!?

ここでピックアップしたいのが、扉絵に描かれた4つのワード「憂鬱」「悦楽」「絶望」「希望」。ネガティブなワードだけでなく、「悦楽」「希望」などのポジティブなワードが含まれていたはずだ。

ご存知の通り、メランコリアという症状の中には「鬱」だけでなく「躁」の状態も含まれている。
このワードをあえてパターン分けするならば、「鬱」が「憂鬱」「絶望」、「躁」が「悦楽」「希望」という風にも読み取れる。

実際どうなのかは、作者である道満先生並びに担当編集の方にしかわからないが、上記のような“メランコリア”なワードを題材としたオムニバス作品と考えると『メランコリア』というタイトルがしっくりはまるようにも思える。

メランコリア_サブタイトル

そして、もう一つ注目したいのが各話のタイトルだ。思い出してもらいたい、まず1話目が「Apocalypse 終末」、そして2話目が「Bobby Fischer ボビー・フィッシャー」。そして、発売中のウルトラジャンプ3月号に掲載されている3話目のタイトルは「Cutthroat 殺し屋」となっている。

太字にしてまで強調しているのでわかると思うが、タイトルの頭文字がA、B、Cとアルファベット順になっているのだ。「A to Z」の26文字分の物語が用意されているのか、それとも何かの偶然なのか…。以降の各話タイトルにも注目していきたい!

とにもかくにも! まったく毛色の違う作品をハイクオリティに描く道満晴明先生の『メランコリア』。
オムニバスショートなのでどこから読み始めても楽しむことができ、読後に何か“感じ入るもの”が生まれる本作に、今後も期待していきたい!

コミックシンク編集部が“勝手に”つける!?
『メランコリア』おすすめ度数チェック!!

●メランコリー度  ★★
●さくさく読める度 ★★★★
●不条理度     ★★★
●猫かわいい度   ★★★★★
●おっぱい度    ★★★★★★★★

掲載された2話に関しては、意外と希望が持てるような内容だったので、メランコリー(憂鬱)度は抑え目。
また、“この話どうなっちゃうの!?”と思わせる展開で読み進められるため、さくさく読める度も高めだ。
また猫好きの先生の作品だけに、猫のしぐさなどは非常にかわいかったのも◎。
そして極めつけは森のマジョのすばらしいおっぱい! あふれんばかり(というか全部見えている)の胸に、読者の目は釘付け間違いなしだ!

関連情報/外部リンクはこちら

©道満晴明/集英社