2017年6月23日(金)19時00分

柊あおい先生『星の瞳のシルエット-青春フィナーレ-』発刊記念特別インタビュー ―香澄と久住君、その他のカップルたちの“未来(あした)”を描く―<そしてあのエピソードの裏話が…>

星の瞳のシルエット-青春フィナーレ-

1985年~1989年の「りぼん」で絶対的な人気を誇った柊あおい先生の『星の瞳のシルエット』の続編新刊コミック『星の瞳のシルエット―青春フィナーレ―』が6月23日(金)<※デジタル版は7月25日(火)>に刊行されます。あの頃の“りぼんっ子”にとっては格別のきらめきを放つ本作。香澄&久住君、沙樹、司、真理子、おケイ…あのすれ違いカップルたちはどんな未来(あした)を描くのか?
執筆を終えた柊あおい先生に直撃インタビューし、作品に込めた想いをお聞きしました。

●その前におさらい『星の瞳のシルエット』作品の歴史

<本編>1985年~1989年「りぼん」連載

中学2年~高校2年生までの物語。香澄の親友、真理子が「好きになった」という弓道部の久住君に、なぜか香澄も心惹かれていく。そしてその男の子が実は小学生の頃会った初恋の相手「すすき野原の男の子」だと知り、ますます想いはつのるばかりで…。

星の瞳のシルエット_遅刻
星の瞳のシルエット_お姫様だっこ

お姫様抱っこに「遅刻遅刻!」といった定番ネタが満載でもありました。

<番外編:ENGAGE-エンゲージ->1991年「りぼんオリジナル」秋の号掲載

大学1年・香澄と久住君、遠距離恋愛開始。香澄、遠野行と出会い…

<番外編:ENGAGE2-エンゲージ2->1996年「りぼんティーンズ増刊号」掲載

大学1年・おケイこと吉祥寺啓子と遠野行のお話

――ここまでは、紙の文庫版&デジタルコミック『星の瞳のシルエット(集英社版)』全6巻に収録されています。実は本編って連載期間と同様、ほぼ「3年」の物語なのです。

そして今回の「青春フィナーレ」には…

    • <番外編:ENGAGE0-エンゲージ->2015年「りぼん」7月号掲載

高校3年・香澄と久住君/付き合い始めて卒業式までに…

    • <番外編:ENGAGE3-エンゲージ3->2016年「冬の大増刊号りぼんスペシャル」掲載

大学2年・沙樹と司/クリスマスの前後に…

    • <番外編:ENGAGE4-エンゲージ4->(描きおろし)

短大2年・真理子と日野君/ある春の日に…

    • <番外編:ENGAGE5-エンゲージ5->(描きおろし)

大学4年・香澄と久住君/そろそろ就活ですが…

    • <番外編:ENGAGE6-エンゲージ6->(描きおろし)

大学4年・おケイと行/おケイは進路が決まったけど…

の物語が収録されています。

●柊先生インタビュー『星の瞳のシルエット―青春フィナーレ―』制作秘話

――今回のエピソードは、香澄ちゃんたちが高校を卒業し、進路を決めていく…連載当時「りぼん」で描かれていた範囲を少し超えたところで、大人へのステップを踏んでいく物語だと思うのですが、描きおろしを加えて完成させようと思ったのはなぜでしょうか?

柊:そうですね。実は最初の番外編『ENGAGE』(1991年)を描いた時に、「これで区切りがついたな」と思っていました。でもその後、「りぼん60周年記念」ということで、2015年に当時の連載キャラで1作描いてほしいというお声がけを頂いたんですね。せっかく描くのであれば、連載当時の読者のみなさんに「読みたい!」って思ってもらえるものにしないと!と考えた結果、91年の『ENGANGE』までの「間のお話」が必要ではないか、と。『ENGAGE』で描いたのは、連載終了から1~2年経って、大学生になった2人のお話でしたので、その空白の2年位には、結構色々あっただろう、さすがにつきあって2年たっても「久住君」と「香澄ちゃん」と呼び合い続けるのもおかしいだろうと思って、呼び名を変えたりしたんです。

――確かに、呼び捨てにしていましたね。

星の瞳のシルエット_呼び捨てにしている

柊:でも、当時読んでくださった方たちから、いきなり呼び捨てになったのでびっくりしたというお声を頂きまして…。じゃあ、付き合い始めたあたりを、もう少し丁寧に描いてみようと思いました。

――卒業式近辺の甘いエピソードですよね。指輪ももらったりして…キュンとしました!

柊:指輪、うれしいですよね。高校生にとっては特別なものですね。

星の瞳のシルエット_指輪

――今回、香澄たちに加えて真理子や沙樹たちのカップルを描かれたわけですが、30年経ってみて、前より描きやすい、描きにくい、といったキャラはいましたか?

柊:描きやすさという意味では、おケイですかね。自分に似ているというか、さっぱりした性格なんで、カタルシスがありますね。

星の瞳のシルエット

――本編連載当時の「250万乙女」の時って、何しろ子供の人口が多い時代でしたから…恋に恋している子が大半と言いますか、恋愛における勝ち組になる子は、学年の中の本当に一握りだったんですよ。なので、完全に『星の瞳のシルエット』をお手本にしていましたね。

柊:そんな、お手本だったんですか? (困惑)

――お手本でした(きっぱり)。脳内でポエムは読みました。

星の瞳のシルエット

――読者から見ると香澄ちゃんはお姉ちゃん的存在で、わがままな真理子にムカッとしたりしましたね。「香澄ちゃんがかわいそう!」って。大人になると真理ちゃんも大好きになるんですが…。

星の瞳のシルエット

柊:成長した姿を描くうえで、高校時代とはちょっと見た目も変わるんだろうな、と。それぞれの性格を考えると、真理子は髪を伸ばすだろうな~彼女はくせっ毛だから、伸ばしたらいい感じにくるくるするだろうな、沙樹は変わらないというか、変えないだろうなぁ、日野君はぐっと高校生の時より大人っぽくなるだろうな、とか…。

星の瞳のシルエット

――日野君、カッコよかったですね! 実は一番男前だったかも知れません。

柊:そうですね、それでも中身は変わらない。真理ちゃんは本当に愛されていて…。読者の方のお便りでも「真理子独り勝ち!」って言われていましたね。

――香澄ちゃんは真面目というか、ある意味の不器用さを貫き通していましたね。久住君は遠くに行っちゃいますし。

柊:……近くにいても…邪魔かな…と。

――え?(困惑)

柊:だって…ただの蜜月関係…ってなってしまうと…犬も食わないと言いますか…(笑)

――確かに2人は常に危機がつきまとっているイメージはありましたが、先生…2人に厳しいですね…!!(笑)

柊:そうじゃないと物語的に困るんですよね(笑)でも、多分遠距離恋愛していても、時々帰って来た時には楽しくしている気はします。久住君が料理作ったりして。沙樹とおケイは描きわけの部分で悩んだりしますが…おケイは大人の女で、沙樹は女の子なのかな、と。

星の瞳のシルエット

――今回収録されたエピソードで、あの沙樹が大人になってしまったと思いました。

柊:まあ…(笑)。大学生になって何もないのもねえ、ということで…。ネームを提出する時ドキドキしましたが。

星の瞳のシルエット

●カバーのお話から広がる「リアルな少女まんがのようなお話」の数々とは!?

――表紙カバーに関しても、今回のイラストは従来のコミックスに比べて、ずいぶん大人っぽいなと感じました。

星の瞳のシルエット-青春フィナーレ-

柊:カバー…どうしようかなと考えていた時、パッと昔「りぼん」のふろくでつけたポスターが思い浮かんだんですよ。テレホンカードにもなったんです。

星の瞳のシルエット_りぼん_ふろく_ポスター

――このイラストは、文庫版の4巻にも収録されていますね。

柊:はい。当時読んで下さっていた方が、対象読者になると思いまして。もう大人の方が多いと思いますから…あまりカラフルな色合いでなくても届くのではないか、しっとり納めてもいいのではないかということになりました。

――「りぼん」時代のポスターもそうなんですが、普段はオクテで真面目な2人が、暗い中だからちょっといつもより近くに寄っちゃうぞ! 腕の中に包まれちゃうぞ的な、理想のシチュエーションですよね。身長差もあって。

柊:そうですか? 実は今回のカバーを描くにあたって、構図がなかなか難しいので、子供たちにモデルになってもらったんですよ。お兄ちゃんと妹がちょうどいい身長差だったので「やってみて」って…写真を撮って。

――兄弟でこのポーズというのもきゅんとしますね! 理想のハッピー家族ですね…。

柊:娘はまんがにちょっと興味があって、一度だけ投稿したことがあるんですけど、今回はアシスタント作業をだいぶ手伝ってもらいました。ベタを塗ったり。アルバイトというか、お小遣い稼ぎの部分もあったんでしょうけれど、だいぶ助けてもらいました。

――娘さんと一緒にまんがが描ける…とは…。ちなみに、連載当時まさに世代で、「弓道部がある学校に行きたい!!」「天文部がある学校に行きたい!!」と思っていたのですが…弓道部を使おうと思ったきっかけは…?

星の瞳のシルエット_弓道部

柊:最初は高校生が主人公の物語を考えていたのですが、読者層的に年齢を少し落としてほしいというオーダーがありまして、中学生にすることになったんです。それで、主人公が好きになる相手の部活をどうしようかなと考えていたんですが、弓道のお話ってあまりなかったので、めずらしくていいかな?って思ったんです。

――先生自身が弓道部だったのでしょうか?

柊:いえ、私は中学ではバレー部だったのですが、旦那が弓道部だったんですね。

――だんな?? …もしかして連載当時からお付き合いされていたのですか???

柊:連載が始まった時は就職してましたが…実は高校時代から付き合っていたんです。

――!!!!!!! もしかしてアレは実話なんですか!(「りぼん」版ポスターは先生と旦那さん!?)

柊:いえ、全く実話じゃないです。私、女子高でしたし…。

――どんな出会いで…??

柊:実は、当時アニメが好きで、まだ当時アニメっていう言い方もされておらず「漫画映画」とか「テレビ漫画」みたいな呼ばれ方をされていたんですが…栃木放送というラジオ局で、アニメコーナーみたいなものがあったんです。で、そのラジオ局にお邪魔する機会がありまして…。そこで同じくアニメが好きだった彼と出会ったって感じですけども。

――ラ・ジ・オ……?

星の瞳のシルエット_ラジオ

――お2人が出会った頃には、先生はすでにマンガを描いていたのでしょうか?

柊:初めて投稿したのは中学生でしたけど、それからずっと投稿し続けていました。それでも、大学でモノにならなかったので、大学っていっても短大ですけども、結局就職することにして。でも、好きだから描いていこうと思って、就職した年の新人漫画賞に応募したらたまたま入選させていただいたので…。

――では、高校時代に出会って、ずっと投稿している間もずっとお付き合いされて…?

柊:そうですね。

星の瞳のシルエット

――支え合いながらお互いの夢を大切にする、的な…

柊:いや、支え合ってはいなかったような(笑)…本当は作家としては、もっと色んな恋愛経験を積むべきだったのではないかと、思ったりもしますよね。

――いやいやいや、『星の瞳のシルエット』ファン的には理想の現実です。

柊:いえいえ、お恥ずかしい限りで。

――マンガとアニメがお好きなところも理想ですよね。色々相談もできますし。

柊:いや~。私がやってなかった弓道に関しては聞いたりとかはしましたけど…マンガの背景とかも、手伝ってもらったりもしましたけれども…。

――(充分すぎる…)ちなみに、先生は旦那さんに初めてアクセサリーをもらったのはいつでしたか?

柊:二十歳頃だったと思いますけどね、多分…金の指輪を…すごい安いやつだったと思いますけど。その辺の路面で、お店を出して、お兄ちゃんが座り込んでいるような…そんなところだった気がします。一緒に歩いていた時…もう3~40年前のことなんで。いや~こんなお話、どうでもいいですよね。本当に…。

――いえ、ありがとうございます。

…えー、小学生の頃から理想の恋愛は『星の瞳のシルエット』であると刷り込まれた250万乙女の皆さま。……大丈夫でした。「そんなまんがみたいな話」……………あるんですね!  香澄ちゃんみたいに真面目にがんばっていれば、きっと幸せになれるんだ! そんな希望すら湧いてくるお話でした。そして、このインタビューを、ぜひ『青春フィナーレ』を読んだ後に再びお読みいただけますと、3時間ぐらいニヤニヤできます。オススメです!!
娘さんがいらっしゃるお母さまにもオススメです!

あー、スキップ踏みたくなってきました…。
星のかけら…落ちてないかなぁ。すすき野原に行ってこよーっと…。

文/編集スタッフM

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(C)柊あおい/集英社