2017年8月18日(金)18時00分

ほぼ実録!? ジャンプレジェンド・平松伸二先生の『外道マン』に見る、古(いにしえ)のジャンプのヤバさ熱気!!!

絶賛開催中の「ジャンプ展」。
いやぁ、素晴らしい作品が盛りだくさんでワクワクしちゃいますね。
さて、その素晴らしい作品はどんな人達が作っていたのか興味ありません? ありますよね? あるって言って!
OK! ならば教えよう! こんな人達が作っていたのだ!

素晴らしい作品はどんな人達が作っていたのか

……

なぜこんなヤ○ザな人達が少年漫画を…!?
その答えは『ドーベルマン刑事』『ブラック・エンジェルズ』などのバイオレンスアクションの巨匠・平松伸二先生の半自伝漫画『そしてボクは外道マンになる』に記されているのです。
『そしてボクは外道マンになる』は、岡山の田舎で生まれた漫画好きの少年・伸坊が、「外道マン」へと成長していく“ほぼ実録”ドキュメンタリー。

つまりこの青年が……

岡山の田舎で生まれた漫画好きの少年・伸坊

こんな感じになっていく様を描く物語!

「外道マン」へと成長していく“ほぼ実録”ドキュメンタリー

一体どんな経験を積めばこうなってしまうのか…!
その答えは本日発売のコミックス第1巻にある! 9月発売の第2巻にもある!

     外道マン

なので紹介します!
この記事でジャンプ黎明期の異様な熱気をお伝えできればと思います、マグロ一筋です。よろしくお願いします!

この編集者がヤバイ!スゴイ! 平松伸二初代担当・権藤狂児伝説!

ところで皆さんは漫画編集者のお仕事って具体的に何をするのかご存知でしょうか? 漫画家と打ち合わせをして、ネームを見て、原稿を受け取りに行ってなど、私も何となくのイメージはありますが、細かいところはわかりません。
そこで、平松伸二先生(以下伸坊、この作品ではまだ坊やですので)の初代担当である権藤狂児さんの仕事ぶりから、漫画編集者のお仕事を学んでいきましょう。

こちらが権藤さん。

初代担当である権藤狂児さん

木刀は編集者の必須アイテムですね!

伸坊が弱冠19歳にして初連載した『ドーベルマン刑事』。その立ち上げから関わった権藤さん。
記念すべき初打ち合わせの様子がこちら!

記念すべき初打ち合わせの様子

熱い鼓舞!! 

続いて連載前、第一話のネーム作成はこんな感じ。

第一話のネーム作成

はい、ボツ!!

あ、取材もありましたね。
取材先を探す、許可を取る、同行する…そういったことも担当さんの大事なお仕事。
もちろん権藤さんは作品へのネタ出しにも協力を惜しみません!
こちらが取材の様子です!

取材の様子

どこで見つけてきたか知らんけど、ホンマモンの外道だァ!!

そして伸坊はド外道への怒りを習得し、完成度の高い第1話の原稿が完成!
なるほど、こうやって漫画はできるんですね!

さらに連載が始まっても、作品や人生…様々な悩みに応える、たゆまぬサポートは続きます!

たゆまぬサポート
たゆまぬサポート

うーん、この正論!

しかし、連載が長く続けば担当の交代も起こるもの…。

2代目編集さんはこの方、魔死利戸毒多さん!

魔死利戸毒多さん

初手でジャンプをディスる!

魔死利戸毒多さん
魔死利戸毒多さん

40年後も変わらず毒舌!!

ジャンプレジェンド作家もヤバイ!スゴイ!

伸坊と同時期に活躍していたジャンプレジェンド作家も続々登場する本作。こちらはかつてジャンプにあった、愛読者賞発表会の様子。見れば誰だか分かる人が何人もいらっしゃいます!

愛読者賞発表会の様子

その中でも特に目を引く左の人。この人はもう、ひと目で誰だかわかりますね…

本宮ひろ志先生

そう! 本宮ひろ志先生です!

この、本宮先生が何故か真剣を持って編集部の机に座ってるシーン、サイッコーに好きなんですよ。

本宮ひろ志先生

去り際までかっこいい!

全ては外道をぶち殺す漫画を描くために…伸坊は大変だなぁ!

権藤さんのインパクトが強すぎたので先に紹介しちゃいましたけど、この漫画は平松伸二こと伸坊がその青春の全てを漫画に捧げ、悩み苦しみながらそれでも漫画を描き続ける物語です。

毎週31Pを描くことになったり…!

毎週31Pを描くことになったり…!

雇ったアシスタントさんに土下座

雇ったアシスタントさんに土下座したり…!

童貞だったり…

童貞だったり…!

これからもまだまだ伸坊の苦難は続く! 「外道マン」になる日まで! いや、「外道マン」になっても終わらない! 一生続く! その中でもがきながらも面白い漫画を描き続ける…それが漫画家だから!

もがきながらも面白い漫画を描き続ける

ところで…どうなったら外道マンなのかしら…?

そして、いかに刷るたびに部数を伸ばし、イケイケだった時代とは言え、編集さんがこんなヤ○ザみたいなはずないだろう、そう思った私は「グランドジャンプPREMIUM」編集部へ飛んだ!

現担当編集Kさんにこっそり聞いてみた!

──早速ですが、当時のジャンプ編集部ってこんなに怖かったんです…?

Kさん:僕が生まれる前の時代なので直接見たわけではないですが、先生がおっしゃる限り怖かったし、同僚へのライバル心も凄かったそうですよ。どんな話を作っているか他の編集者に知られないため、漫画家との打ち合わせも会社でしないくらいで…生き馬の目を抜くような競争があったと聞いています。ちなみに権藤さんのモデルとなった○藤さんの見た目は漫画とそっくりなんですが、岡山から出てきた二十歳そこらの純朴な青年がこの人を見たらそりゃビビりますよね。

右側の髭の人が○藤さん

↑右側の髭の人が○藤さん。

Kさん:その恐怖の権藤さんの上司なんだから編集長や副編集長も当然怖い…と先生は感じていたんでしょうね。でもみんな面白い漫画を作りたい、あのライバル誌に負けたくない、という熱い思いで漫画を作っていたのは本当ですよ!

──木刀は…?

Kさん:ご想像におまかせします(笑)

──本宮先生はご自身が登場していることをご存知なんですか?

Kさん:はい、作中に出てくる作家さんには全員許諾をいただいています。チェックに出すのが一番怖かったのは魔死利戸さんの回でしたけど(笑)

──編集者の立場から見て心に刺さったエピソードを教えてください。

Kさん:権藤さんが担当を変わる時に、それまで呼び捨てだった伸坊を「平松さん」と呼んだエピソードですね。担当引き継ぎの時は寂しさがあるものですが、それは男と男の仕事として、外に出すもんじゃないという思いが込められているのではないでしょうか。権藤さんは冷たく引き離してるようで、「お前も一端の作家になったんだからもっとがんばれよ」と語っているような背中…去るだけなら普通は3コマも使わなくいいのにだんだん遠ざかっていくシーンは、先生にとってそれくらい印象的だったのかもしれません。同じ漫画編集者としてこのシーンは特に共感できましたね。その後に出てくる魔死利戸さんとのギャップも面白いですが(笑)

担当交代のこのあっけなさは2人の関係を表した名シーン

↑担当交代のこのあっけなさは2人の関係を表した名シーンですよ! 当の伸坊は困惑してますけど!
このシーンは9月発売予定の2巻に収録されるので、ぜひ。

──では平松先生ってどんな方です…?

Kさん:真面目です! 若かりし頃は、『ドーベルマン刑事』という作画が大変な作品で31Pの週刊連載をこなしていました。その根性が今も生きているのでしょうか、締切はしっかり守られます。また大御所の超ベテラン作家ですが、驕ることなく真摯にネームに向き合っています。締切と作品の品質に関しては非常に誠実な方ですね。さらに意外と気さくで、僕とは親子ぐらいの年が離れているにも関わらず、ときには僕のアイデアも取り入れてくれる柔軟性も兼ね揃えています。そこは一緒に仕事をしていて嬉しいです。人柄は『ブラック・エンジェルズ』の松田や『ドーベルマン刑事』の加納錠治とは全く似ていません。どちらかというと雪藤っぽいかな。繊細で、物腰が柔らかく、優しいひとですね。

左から松田鏡二、加納錠治、雪藤洋士

↑左から松田鏡二、加納錠治、雪藤洋士。雪藤は裁いてる時以外はメガネで気弱なお兄ちゃんです。

Kさん:最後に只今、書道と漫画を融合させた個展「平松伸二 漫書展」が、8月21日(月)まで中野ブロードウェイにて開催中です。六本木ヒルズで開催中の週刊少年ジャンプ展にも、『ドーベルマン刑事』と『ブラック・エンジェルズ』の原画が展示中ですので、ぜひ足を運んでみてください!

──本日はありがとうございました! 


なるほど、『ドーベルマン刑事』は悪への怒りと自分への怒りと編集部への怒りのエネルギーで作られていたのですなぁ。伸坊と編集部がどんな思いで漫画を描いていたか…身につまされる思いです。じゃあ『ブラック・エンジェルズ』編に入ったら伸坊はサイキックパワーを使うのかな…! まさに外道漫画家! 超見たい! 『そしてボクは外道マンに“なった”』まで連載が完走されることを祈って、ご精読ありがとうございました!

文章/マグロ一筋

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(C) 平松伸二/集英社